運送業の事故防止|無事故日数掲示で事故が約1/4に減少した事例

「事故が減らない」「ドライバーの安全意識をどう高めればいいか分からない」「保険料がまた上がりそうで不安だ」——そんな悩みを抱える運送会社の管理者は多いのではないでしょうか。
安全教育や設備投資は効果的ですが、継続するには時間もコストもかかります。もっとシンプルに、日常業務の中で自然と安全意識を高める仕組みはないのでしょうか。
協同組合小松トラック輸送センターでは、「無事故日数の掲示」という低コストな取り組みを2025年8月から開始しました。組合内の燃料スタンドに無事故日数を掲示し、ドライバーが給油のたびに自然と目にする環境をつくった結果、体感ベースで事故発生件数が約1/4に減少しています。
本記事では、この取り組みの具体的な内容・運用方法・効果を、実践事例としてご紹介します。事故削減の仕組みづくりに悩む運送会社の方にとって、すぐに参考にできる内容となっています。
【事故防止の実践】無事故日数の掲示でドライバーの安全意識を高める方法

事故防止というと、安全教育の実施や設備の導入など、大がかりな取り組みをイメージすることも多いかもしれません。しかし、日常の中で自然と安全意識を高める仕組みをつくることも重要です。
当組合では、ドライバーが日々利用する場所に無事故日数を掲示し、継続的に意識づけを行っています。特別なことではありませんが、こうした小さな取り組みの積み重ねが事故防止につながっています。
燃料スタンドに無事故日数を掲示
無事故日数は、組合内にある燃料スタンドに掲示しています。燃料スタンドは多くのドライバーが日常的に利用する場所のため、給油の際に自然と目に入ります。意識して見ようとしなくても、日々目にすることで安全への意識づけにつながります。また、組合の共通スペースに掲示することで、各社のドライバーが同じ情報を共有できる点も特徴です。日常の動線上に掲示することで、無理なく安全意識を高める環境づくりを行っています。
組合全体で目標日数を設定
無事故日数は掲示するだけでなく、組合全体で目標日数を設定しています。日数が積み重なっていくことで、「この数字を自分の事故でゼロにしてしまうわけにはいかない」という意識が自然と生まれます。ドライバー一人ひとりが責任を感じることで、安全運転への意識が高まります。また、無事故日数が伸びていくほど、組合全体で無事故を維持しようという雰囲気も生まれます。このように、目標日数の設定は、ドライバーの意識づけにつながる要素の一つとなっています。
継続しやすいシンプルな仕組み
この取り組みは、特別な設備や大きな費用を必要としません。掲示と日数の更新だけで運用できるため、無理なく続けることができます。事故防止は一時的な対策ではなく、継続することが重要です。その点、無事故日数の掲示は日常業務の中で自然に取り入れられる仕組みです。シンプルだからこそ続けやすく、結果として安全意識の維持につながっています。小さな取り組みですが、継続することで事故削減に効果が表れています。
組合内での事故共有と安全意識の向上
無事故日数の掲示に加えて、当組合では事故情報の共有も行っています。事故は起きてしまった事実を隠すのではなく、組合内で共有し、再発防止に活かすことが重要です。各社が個別に対策を行うだけでなく、組合全体で情報を共有することで、同じような事故を未然に防ぐことにつながります。こうした情報共有の積み重ねが、安全意識の向上にも役立っています。
事故情報を組合内で共有
組合内で発生した事故については、その内容を組合内で共有しています。どのような状況で事故が起きたのかを共有することで、同じような場面に遭遇した際の注意点として活かすことができます。事故はどの会社でも起こり得るものです。他社の事例を”自分ごと”として捉えることが、事故防止の第一歩となります。情報を共有することで、各社のドライバーが自分の運転に置き換えて考えるきっかけになります。こうした共有の積み重ねが、事故の未然防止につながっています。

他社事例から学ぶ事故防止
事故の共有は、自社だけでは得られない気づきを得られる点も大きなメリットです。他社で起きた事故の内容を知ることで、「同じような状況が自社でもあり得る」といった視点を持つことができます。特に日常業務の中で起こりやすい小さな事故ほど、事前に知っておくことで防げる可能性が高まります。他社の事例から学ぶことで、各社それぞれの安全対策の見直しにもつながり、組合全体としての安全意識向上に役立っています。
各社内での自主的な安全対策の広がり
組合内での事故共有をきっかけに、各社内でも自主的な安全対策が行われています。例えば、社内で事故内容を共有したり、どうすれば防げたかを話し合う機会を設けたりするなど、それぞれの会社で取り組みが広がっています。組合全体の取り組みがきっかけとなり、各社ごとの対策につながっている点も特徴です。このように、情報共有が個別の安全対策へと発展し、結果として事故防止の意識がより高まっています。
無事故の基準づくりと安全管理の見える化

無事故日数を掲示するうえで重要になるのが、「無事故」の基準を明確にすることです。基準が曖昧だと、日数の意味が分かりにくくなり、取り組みの効果も薄れてしまいます。当組合では、誰にとっても分かりやすい基準を設定し、組合全体で共有しています。基準を統一することで、安全管理の状況を見える化し、継続的な事故防止につなげています。
保険使用の有無を無事故の基準に設定
当組合では、無事故の基準を「損害保険を使用するかどうか」で判断しています。
対象となるのは、以下の通りです。
・自動車保険
・貨物保険
・業務災害保険
・火災保険
保険を使用する事案が発生した場合は無事故日数をリセットする仕組みとしています。このように明確な基準を設けることで、判断に迷いが生じにくくなります。また、金額の大小ではなく、保険使用の有無で判断するため、シンプルで分かりやすい運用が可能となっています。
組合全体で共通の基準を持つ
無事故の基準を組合全体で統一することで、各社が同じ認識のもとで安全管理に取り組むことができます。会社ごとに基準が異なると、無事故日数の意味がばらばらになってしまいますが、共通の基準を持つことで組合全体としての取り組みになります。また、同じ基準を共有することで、事故に対する意識も統一されます。こうした共通認識を持つことが、安全管理を継続していくうえで重要なポイントとなっています。
無事故日数で安全意識を見える化
無事故日数を掲示することで、安全への取り組み状況が数字として見えるようになります。日数が増えていくことで、安全に運行できている実感につながります。一方で、事故が発生した場合には日数がリセットされるため、安全管理の重要性を改めて意識するきっかけにもなります。このように、無事故日数を可視化することで、日々の安全意識の維持につながっています。継続して掲示することが、事故防止の意識づけに役立っています。
事故削減がもたらす保険料削減と経営への効果

事故防止の取り組みは、安全面だけでなく経営面にも大きな効果があります。事故が減ることで、保険料の上昇を抑えることができ、結果としてコスト削減につながります。当組合でも、無事故日数の掲示や事故共有の取り組みを続けることで、事故の発生件数が減少しています。こうした積み重ねが、組合全体の経営面にも良い影響をもたらしています。
事故減少による保険料の抑制基準に設定
事故が発生し保険を使用すると、翌年度以降の保険料に影響が出る場合があります。そのため、事故を減らすことは保険料の上昇を抑えることにもつながります。当組合では、無事故日数の掲示を開始した2025年8月以降、事故発生件数が体感として約1/4に減少しています。事故が減ることで保険の使用機会も減り、結果として保険料の抑制につながっています。安全対策は、コスト面でも大きな効果をもたらします。
コスト削減による経営への効果持つ
事故が減少すると、保険料だけでなく修理費用や業務への影響といった間接的なコストも抑えることができます。車両の修理期間中の代替対応や、業務の遅延など、事故には目に見えない負担も伴います。これらのコストが減ることで、経営の安定にもつながります。安全対策は単なるリスク回避ではなく、組織全体の効率化にも寄与する取り組みと言えます。
賃金還元にもつながる安全対策
事故削減によって生まれたコスト削減分は、社員への還元につながる可能性もあります。保険料は大きな金額になるため、その負担が抑えられることで、賃金や福利厚生の充実につなげることもできます。安全対策は、会社にとってのメリットだけでなく、働くドライバーにとってもプラスとなる取り組みです。事故を防ぐことが、結果として職場環境の向上にもつながっています。

まとめ
当組合では、無事故日数の掲示をはじめとした取り組みを通じて、事故防止への意識向上を図っています。燃料スタンドへの掲示や組合内での事故共有、無事故の基準づくりなど、特別な設備や大きな費用をかけることなく実施できる内容が中心です。こうした取り組みを継続することで、2025年8月の開始以降、体感として事故発生件数は約1/4に減少しています。
また、事故が減ることで保険料の抑制やコスト削減につながり、経営面にも良い影響をもたらしています。さらに、削減されたコストを社員への還元に活かすこともでき、安全対策が働く環境の向上にもつながっています。
事故防止は一度の対策で完結するものではなく、日々の積み重ねが重要です。無事故日数の掲示のようなシンプルな取り組みでも、継続することで大きな効果を生み出します。
今後も組合全体で安全意識を高め、事故のない運行を目指して取り組みを続けていきます。同様の取り組みにご関心のある運送会社の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
